2013年5月3日金曜日

bloodbath

Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 bloodは「血」で、bathは「入浴」。bloodbathは、文字通りは「血の入浴」。つまり、浴びるほどの血を流すことから、massacre(大虐殺)を意味する。経済に関して比喩的にも使われ、大量解雇や株式市場の暴落を指す。
 タイムズ・オブ・インディア(2011年8月8日付)は、“Syria bloodbath continues, 52 dead”(シリアの大虐殺は続く、52人が死亡)と報じた。シリアでは、今年3月以降、反政府抗議デモに対し公然と弾圧が始まった。アサド大統領は、“Syria is on the path to reforms.”(シリアは改革の途上にある)としながらも、デモの参加者を“terrorist groups”(テロリスト・グループ)と呼び、軍隊を出動させて武力で鎮圧し始めた。連日、多数の死傷者が出て当局の取り締まりは虐殺の様相を呈し、まさにbloodbathの事態となった。アラブ諸国に吹き荒れる反政府デモによる民主化革命は、多数の犠牲を強いることになった。
 ところで、最近注目を集めたのが世界同時株安によるmarket bloodbath。株式などが投げ売りされて相場が暴落、大量の損失(赤字)が出るのは、まさに経済的な意味でbloodbath。インターネットのビジネスニュースRTTNews(8月4日付)は、“Economic worries lead to bloodbath on Wall Street”(経済的懸念からウォール街は株が〝暴落〟)と報道。米株式市場でダウ工業株30種平均がこの日、500ポイント以上下げたことで、株式市場に悲観論が強まっていると指摘した。米国の不況と財政赤字の悪化が最大の不安材料。案の定、格付け会社のスタンダード&プアーズが、米国債の格付けを引き下げるに至って、週明け8日のダウ平均はさらに600ポイント以上下落。market bloodbathはアジア、欧州市場に波及した。
 さて、ウォールストリート・ジャーナル(8月9日付)のブログに“High frequency traders win in market bloodbath”(高頻度トレーダーは市場暴落でも勝ち残る)と出ていた。金融取引は今やコンピューターを使った秒単位の売買だが、はしこい奴は生き残る。人の行く裏に道あり花の山…。minagoro

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