2012年7月19日木曜日

Serve you right ざまあ見ろ!


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 serveはサービス(service)の動詞形。原義は「仕える」で、そこから派生していろいろな意味で使うが、to serve someone rightとするとto be deserved(~するに値する)と同じになる。たとえば、“It will serve him right for what he has done.”(それは、彼がやったことの当然の報いだ)などと言う。また“Serve you right!”(ざまあ見ろ)となる。
 今回の主役は、米国の〝お騒がせセレブ〟パリス・ヒルトン嬢(26)。飲酒運転の罪で保護観察中に運転したとして45日間の禁固刑を言い渡されたものの、実質3日あまりで刑務所から仮出所した。彼女は世界的ホテルチェーン、ヒルトンの創業者の曾孫で、モデル兼タレント。「仮出所は有名人を優遇し、司法の公平性を揺るがすものだ」との批判が噴出し、ロサンゼルス地裁は6月9日、残りの刑期を終えるように命令。彼女は再び収監された。その後、インターネットのブログに寄せられた意見では、“Serve you right, Miss Prissie!”という声が多かった。
 “Miss Prissie”というのは、元の語はprissy。「上品ぶった」という女性に対する形容詞で、ハードボイルド作家、レイモンド・チャンドラーの“The Little Sister”(1949年、邦題「かわいい女」)にも出てくる古い言葉。最近では「自分勝手で傲慢な女」の意味で、とくに女性セレブなどに対する悪口としてよく使われる。上記の文句を訳すと、「ざまあ見ろ、気取り屋お嬢さん」。
 事件を担当した警察官も、裁判所の決定について“She had it coming to her.”とコメント。これも当然の報い、の意味だ。
 パリス嬢は、多数のメディアが取り巻く中で、“Mom, mom, it’s not right!”(ママ、ママ、こんなのおかしい)と泣き叫びながら法廷から連れ出され、パトカーに乗せられた。“Screaming Paris Hilton Taken Back to Jail! Are You Happy?”(泣き叫ぶパリス・ヒルトンが刑務所へ逆戻り!君はスッとしたか?)というブログにも、“She deserves jail.”(刑務所行きは当然の報い)とあった。“Jail is definitely not pleasant. It brings me great pleasure to know that some spoiled little bitch is going to be spending a month there.”(刑務所は確かに快適なところではない。甘やかされて育った小娘がそこで一月過ごすと思うと大いにうれしいね)など、鬱憤晴らしのコメントがあふれた。
 ところで、セレブは米語でもcelebで、celebrityの略語。オックスフォード英語辞書(OED)によると、語源はceremony(式典)とか celebration(お祝い)で、人の意味に使うのは、その人の行為が公に賞賛され、その結果有名人になるというわけ。だが、有名人は、有名になりたくてもなれない人たちのやっかみや妬みを受けねばならないのが世の常で、一歩間違えれば「それ見たことか」ということになる。The Sankei Shimbun (June 24 2007) 「グローバル・English」はこちらへ

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