2012年5月15日火曜日

endorsement


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

 
 endorseはカタカナ読みでは「エンドース」。元の意味は手形などに「裏書きする」という動詞。転じて「保証する」「支持する」という意味で使う。名詞はendorsement。
 米国の大統領選挙では、新聞などのメディアが特定候補者の支持を打ち出す慣行がある。例えば、On January 25 (2008), the New York Times endorsed Senator Hillary Clinton.(2008年1月25日にニューヨーク・タイムズはヒラリー・クリントン上院議員を支持した)。同日付の社説で“The Times’ editorial board strongly recommends that they select Hillary Clinton as their nominee for the 2008 presidential election.”(論説委員会は、2008年大統領選挙でヒラリー・クリントンを指名することを推薦する)と述べている。
こうしたendorsementは、どのように決まるのか?
“The New Republic”(2月28日付)が“Split Decision”(分かれた結論)と題する記事で一端を明かしている。ニューヨーク・タイムズはもともと民主党支持であるが、その中でも今回、20人いる論説委員がオバマ上院議員の支持に傾き、激しい議論になった。最終的に出版人のアーサー・サルツバーガー会長がクリントン支持を決定したという。それだけに、社説は含みを残し“By choosing Mrs. Clinton, we are not denying Mr. Obama’s appeal or his gifts.”(クリントン氏を選ぶことで、オバマ氏の訴えや才能を否定するものではない)と述べている。また、驚いたことに、今回はマケイン上院議員についても、“the best choice for the party’s presidential nomination”(共和党の大統領候補として最良の選択)と表明した。
 さて、ロサンゼルス・タイムズ、シカゴ・トリビューンなど全米の100以上の新聞が、オバマ氏への支持を打ち出した。共和党支持はウォールストリート・ジャーナルなど少数派である。では、多数の新聞を〝味方〟につけたオバマ氏が圧倒的に有利か、というと、そうとも言えない。米国では〝民主党寄り〟で、革新的な論調の新聞が売れる。だが、読者が選挙で民主・共和どちらに投票するかはまったく別問題である。
 USA TODAYは、どの候補者も支持しない立場をとり、3月6日付で“Is the media sold on Obama?”(メディアはオバマを選ぶのか?)との記事を掲載、民主・共和両党派の識者が特定候補支持のメディアに対して批判を行った。その中で、“It’s difficult for other papers to claim objectivity on one hand while, on the other, editorially endorsing candidates.”(それら他の新聞が、社説で候補者を支持しながら、一方で客観的な報道をすることは困難だ)と述べ、民主党候補への〝肩入れ〟がメディアの信頼性を傷つけるだろうと警告している。The Sankei Shimbun (March 23 2008)

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