2012年2月27日月曜日

affair


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 affairの語源は、フランス語の“à faire”(to do)で「すること」だが、何をするかで「仕事」「用事」「個人的な出来事」「事件」など様々な意味が生じる。ここでは、“a romantic and sexual relationship, sometimes one of brief duration, between two people who are not married to each other”(アメリカン・ヘリテージ辞書)で、「結婚していない男女間の一時的な恋愛関係」。「情事」などと気取って訳す場合もあるが、早い話が「浮気」「不倫」のこと。不倫にはadultery(姦通)という古めかしい言い方もあり、古今東西尽きることはないが、最近のトレンドは、著名人がメディアに不倫を暴露され、醜態を演じることだ。
 2008年8月9日付のニューヨーク・タイムズは、“Edwards Admits to Affair in 2006”(エドワーズが2006年の不倫を認める)と報じた。これは、民主党の元上院議員ジョン・エドワーズ氏のこと。2004年の大統領選挙では民主党の副大統領候補になり、今年の大統領選挙でも候補を争った。その期間中に妻の乳がんの再発を発表、キャンペーンの続行を宣言し、多くの同情を誘った。だが、その裏で選挙運動のビデオ撮影者の女性と関係を持ち、女性が出産したことで、affairが露見。エドワーズ氏は否定し続けたが、“I told my wife that I had a liaison with another woman. I was and am ashamed of my conduct.”(妻に他の女と関係したと告白した。自分の行動を以前も今も恥じている)との声明を発表した。
 ワシントンポストのブログに寄せられた意見には、“I always felt the senator was a fake.”(いつも上院議員が食わせ者だと思っていた)から“He is only human, not a GOD.”(彼も人間で神様じゃない)、“He is only a DOG, not a GOD.”(やつは神様じゃないどころか、犬並みだ)―など批判が集まった。
 さて、アメリカ社会を揺るがしたのが、1998年1月に発覚したクリントン元大統領とホワイトハウス元研修生モニカ・ルインスキーさんとの不倫騒動。大統領は最初、不倫について全面否定。だが、その後、特別検察官の捜査で2人の関係の細部が暴露され、oral sexやtelephone sexをしていたことが明るみに出た。大統領はついに“"I did have a relationship with Miss Lewinsky that was not appropriate.”(ルインスキーさんと不適切な関係があった)と認め、偽証罪の疑いで弾劾裁判に掛けられたのである。
 結局のところ、affairの本質はextramarital sex(婚外セックス)というだけで、その現実にはとくにロマンチックなものがあるわけではない。
「ユートピア」の著者、トマス・モアは言う。“Romantic love is an illusion. Most of us discover this truth at the end of a love affair.”(ロマンチックな愛など幻想だ。われわれのほとんどが、情事の終わりにこの真実を発見する)The Sankei Shimbun (August 31 2008)

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