2011年12月10日土曜日

pot charge


Illustrated by Kazuhiro Kawakita


 potは一般的には料理用の「なべ」「ポット」だが、ここではmarijuana(マリファナ、大麻)の俗称。これをタバコのように吸うのがsmoke pot。chargeは「容疑」で、pot chargeは「大麻の容疑」だ。カタカナ読みは「ポット・チャージ」。
 AP通信(2009年2月3日付)は、“Pot Charge Possible After Phelps’ Pipe Photo”(フェルプスのパイプの写真で、大麻の容疑が出てきた)と報じた。北京五輪で史上最多の8つの金メダルを獲得した競泳のマイケル・フェルプス選手が、昨年11月にサウスカロライナ大学のパーティでマリファナ吸引用のパイプをくわえている写真が1日付の英国のタブロイド紙に掲載された。pot smoking(大麻吸引)の疑惑が浮上、警察が捜査を進めるという内容。
 疑惑が報道され、フェルプス選手は、“I engaged in behavior which was regrettable and demonstrated bad judgment.”(後悔すべき行動を取った。判断を誤った)とコメント。もっとも、容疑事実は直接の大麻吸引ではない。大学のあるサウスカロライナ州の法律に照らして大麻所持の容疑。初犯の場合、200㌦以下の罰金と30日の禁固刑に処せられるといが、結局、証拠不十分で立件は見送られた。
 さて、marijuanaのもう1つポピュラーな俗称は、grassで「草」。つまり、“It is a dry, shredded green and brown mix of flowers, stems, seeds, and leaves derived from the hemp plant.”(それは、大麻草の花、茎、種、葉を乾して刻んだ緑や茶色の混合物)だから。
 大麻を吸えば、どんな影響があるのか?国立薬物乱用研究所(NIDA)などによると、THCという成分が脳神経に作用し、一時的に高揚した気分になり、ストレスや不安感から解放されるという。しかし、常用した場合、記憶や思考、感覚器官に悪影響が出る。その度合いは個人差が大きい。若い人の場合、mental illness(精神病)を引き起こす危険性があると指摘されている。そのため、米政府は大麻を禁止薬物に指定し、毎年約77億㌦の費用をかけて取り締まっている。
 けれども、大麻の乱用は止まない。アメリカ国内では年間に推計220万人が吸引し、その6割以上が18歳以下の若者であるとされる。
 ABCニュース(2006年12月18日付)は“Marijuana Called Top U.S. Cash Crop”(大麻は、アメリカで最高の〝換金作物〟)と報じた。大麻は非合法であるだけに、〝闇市場価格〟が高く、全国的に栽培する人が増えている。その結果、年間生産高は金額ベースで358億㌦に達し、トウモロコシ(233億㌦)と小麦(75億㌦)を合わせたよりも高いという。
 そこで、大麻をタバコやアルコール並みに合法化してしまえ、という声もある。そうすれば、取締り費用が削減され、約62億㌦の“pot tax”(大麻税)が入る見込み。財政困難な連邦政府にとっては抗しがたい〝皮算用〟ではないか。The Sankei Shimbun (February 23 2009)

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