2011年12月1日木曜日

pink slip


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

 pinkは「桃色」「ピンク色」、slipは「紙片」で、「ピンクの紙片」だが、実は“discharge notice”(解雇通告)を指す。“They are pink-slipped.”と動詞の受身形で使うと、「pink slipを渡された」、つまり“They are fired.”(解雇された)という意味になる。カタカナ読みは「ピンク・スリップ」。
 不景気で、lay-off(解雇)の嵐が吹き荒れる中、タイム誌(2009年4月20日号)は、“5 Tips Post-Pink Slip”(ピンク・スリップを受け取った後の5つの助言)を紹介している。まずは、“Cry, Scream and throw things at the wall…in the safety of your own home.”(泣き叫んで、壁に物をぶつける。ただし自分の家で安全に)そして、気持ちが落ち着いたら、解雇した会社と交渉する手立てを考えよ、という。
 交渉の対象になるのは、つまるところ“severance money”(手切れ金)。今後、告訴したり、会社の悪口を新聞社に言わない、と約束する代わりに受け取るカネだが、次の職の斡旋などの便宜も入る。泣き寝入りをしてはいけない、取れるだけのものは取れ、というサバイバルの指南である。さらに、交渉に際しては、“If you say you’ve got a lawyer, it’s almost like a threat, and the other party gets defensive.”(弁護士を呼んだと言われるならば、それは一種の脅しですな。それなら、こっちとしては自衛することになりますな)と、やんわりすごむように教えている。
 もっとも、実際の解雇に当たってpink slipが渡されたのは20世紀の初めのこと。当時、週給で働いていた労働者の給料袋にピンク色の明細書が入っていると、それは最後の給料を意味するとされた。実に情け容赦のない通告のし方であるが、最近の派遣社員の一方的な解雇などもpink slipと言えるだろう。
 さて、オックスフォード英語大辞典(OED)によると、pink の語源は1573年にさかのぼり、dianthus(ナデシコ)科の花の一般名称だったが、転じて美しい花や、その色彩の呼び名になった。アメリカでは、一般的に女性や愛情、健康を象徴する意味で使われるが、日本の「ピンク映画」のようなポルノの意味合いはない。たとえば、乳がんの早期発見、早期治療を訴える“Pink Ribbon”(ピンクリボン運動)も、1990年に米国から始まった。
 ピンクはまた、「最高」の意味にも使う。ジョギングですっかりリフレッシュしたような場合に、“I’m in the pink.”(元気一杯だよ)という言い方をするが、これはin the pink of health(最高の健康状態)という意味である。
 それでは、喫茶店などに入って“a black and pink”というと何を意味するでしょう?このblackはブラック・コーヒーのことで、pinkはピンク色の袋に入った合成甘味料を指す。生活習慣病が気になる方のダイエット・メニューでした。The sankei Shimbun (May 4 2009)

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