2011年10月27日木曜日

go for it


Illustrated by Kazuhiro Kawakita

 go for itは、スポーツなどでよく使う慣用表現。命令形が多く、日本語では「行け」「がんばれ」「ブチかませ」などと訳される。カタカナ読みは「ゴー・フォリット」。
 米国史上初めてとなる医療保険制度改革法が成立し、政府は国民皆保険を目指して改革を進めた。だが、野党共和党は、改革にともなう大幅な増税の可能性に反発を強め、2010年11月の中間選挙に向けて、法律の廃止を訴えて攻勢を強めた。 
 オバマ大統領は3月25日、アイオワ州で法律の成立後初めて演説。共和党の改革潰しの動きに対して、“My attitude is, ‘Go for it.’”と語った。すなわち、「私の姿勢は〝ブチかませ〟だ」というわけ。その後、“If they want to have that fight, we can have it.”(彼らが戦うつもりならば、われわれは受けて立てる)と述べ、さらに、“Because I don’t believe the American people are going to put the insurance industry back in the driver’s seat.”(なぜならば、米国民は保険産業をふたたび運転席に置こうとしているとは思わないからだ)と、自分の姿勢についてくわしく説明している。ここで“in the driver’s seat”は、主導権を握ってカジ取りをする立場の意味。
 さて、goは「行く」という動詞で、forは「~のために」とか「~に向かって」という前置詞。go for(~に向かって行く)として「~をやろう」いう意味で使う。 itは「それ」という代名詞だが、とくに何かを指すわけではなく、漠然とした状況、事情などを表す。そこで、go for itは、文字通りでは「それに向かって行く」。ランダムハウス米俗語歴史辞典(1997)は、“go ahead eagerly, especially in a risky or challenging situation”(とくに危険な、または厳しい状況でも、熱意をもって前進する)と定義。命令形は、簡単に言えば“do it”だ。文献での初出は1970年代で、ニュアンスとして「人生の可能性に対する限りない楽観主義」を表しているという。そこで、アメリカンフットボールなどスポーツの試合で、“Go for it!”の大合唱の声援に出合うことになる。
 似た表現にgo for brokeがある。brokeはbreakの過去形だが、昔は過去分詞でもあった。ここでは形容詞的に使われ、bankrupted(破産した)のでwithout money(一文なし)の意味。そこで、go for brokeは、すべてを賭けて一か八かやるということ。カタカナ読みは「ゴー・フォブロウク」。
 go for itにしろ、go for brokeにしろ、さらに勇気を出して挑戦するという決意がその中に見てとれる。そこで例文。“Life is full of choices, if you have the guts to go for it.”(あなたにやろうという根性があれば、人生はいかなる選択もできる)。または“Go for it! The future is promised to no one.”(やろう!未来は誰にも約束されていない)。何が大事かって?ヤル気です。The Sankei Shimbun (April 19 2010)

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